マリネラとは? Qué es la Marinera?
バイラ・コンミゴ日本支部は2019年11月より、講師のマリネラ修行のためのペルー移住に伴い、現在活動を休止しております。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
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マリネラ
マリネラ(Marinera)とは、ペルーを代表する伝統舞踊・競技ダンス・ペアダンスである。
ブラジルのサンバ、アルゼンチンのタンゴと共に、南米3大ダンスの1つに挙げられ、ペルー共和の無形文化遺産に登録されている。
男女ペアのダンスで、男女とも白いハンカチを右手に持ち、6/8拍子のリズムで踊るのが大きな特徴である。
マリネラは主に以下の3種類に大別できる。
・ペルー北部海岸地方トルヒーヨのスタイルであるノルテーニャ
・首都であるリマのスタイルであるリメーニャ
・アンデス山岳地方(プーノ・アヤクーチョ・アレキパ等)のスタイルであるセラーナ
これらのうち最も盛んなものはノルテーニャである。
マリネラ・ノルテーニャ発祥の地とされているペルー北部沿岸に位置する都市Trujillo(トルヒーヨ市)では毎年1月の末に世界大会が行われている。
マリネラは地域によって種類があるが、単に「マリネラ」と呼ぶ場合、このマリネラ・ノルテーニャのことを指す場合がほとんどである。
マリネラは、ボリビアやチリ、アルゼンチン等で盛んなクエカやサンバ(アルゼンチンサンバ)などの起源となっている踊りである。
日本において「マリネラ」という名称は、漫画パタリロ!において舞台となる常春の国[[マリネラ王国]]が有名だが、舞踊としてのマリネラの発祥の地とされているペルーのトルヒーヨ市もペルー国内で常春の街(Ciudad de la eterna primavera)として有名である。
パタリロ!の作者がペルーのマリネラ、及び常春の街としてのトルヒーヨ市を知っていたのか、これが単なる偶然なのかは不明である。
歴史
起源
マリネラの起源は、18世紀後半にリマの下町で踊られるようになったサマクエカ(Zamacueca)という踊りに遡る。この踊りは雄鶏と雌鶏の求愛の様子を踊ったものであると言われているが、このサマクエカの起源については諸説あり、はっきりしていない。ペルーの歴史家ロムロ・ビダル(Romulo Cuneo Vidal)は、ペルー北部沿岸地域の遺跡でサマクエカを踊っているような人間の土器が出土されている点などから、サマクエカの原型はプレインカ時代を含むインカ時代全体を通して存在していたと主張している。そうなるとマリネラの原型であるサマクエカは、ペルー先住民の土着的な民俗舞踊ということになる。だが、現在のリズムや衣装、様式などは明らかにアフリカやスペイン的特徴が認められる。そのため先述の通り、サマクエカの起源はペルー土着舞踊説・奴隷として連れてこられたアフリカ人奴隷の踊りが起源であるとするアフリカ起源説・スペインの社交ダンスが形を変えたものであるとするスペイン起源説があり、はっきりしていない。このように起源は諸説あるが、これらペルー先住民文化にアフリカ系黒人文化、スペイン文化がいつの間にか混ざり合い今日のマリネラにつながっていることは疑いようがない。
南米への広がりとマリネラという名称
その後、サマクエカはリマ庶民の間にとどまらず、アルゼンチンやボリビア、チリまで広まり、南米各地で大流行した。アルゼンチンでは「サンバ」 、そしてチリにおいては「クエカ」と呼ばれるようになり、特にチリでは大流行し独自に発展を遂げた。後にこの「クエカ」はチリ風のクエカを意味する「クエカ・チレーナ」もしくは単に「チレーナ」と呼ばれるようになった。この「チレーナ」がペルーに再度伝わりペルーで大流行することになるのである。しかし、19世紀後半にペルー・ボリビア連合軍とチリは太平洋沿岸の資源地帯(おもに硝石)を巡って対立し、太平洋戦争が勃発してしまう。この戦争による激しい戦闘の末、1879年にはペルーの英雄ミゲル・グラウ提督がアンガモスの海戦で戦死してしまう。これらのことから戦後、敵国であるチリの名前がついた「チレーナ」という名はペルー発祥の伝統舞踊の名に好ましくないという理由で、当時のジャーナリストで作曲家でもあったアベラルド・ガマラ(Abelardo Gamarra)が、戦死したグラウ提督やチリ軍と勇敢に戦った水兵たちを称え、名前を「マリネラ(水兵)」にすべきだと訴えた。これ以降ペルーでは、この踊りをペルーの誇りをもって「マリネラ」と呼ぶようになったのである。
コンクール化および世界への広がり
先述したように、ペルーではさまざまなマリネラが踊られているが、1960年から始まったコンクール化によって一大旋風を巻き起こしたのがこの北部海岸地方のマリネラ・ノルテーニャであり、ペルーの国民舞踊と謳われる。このマリネラ・ノルテーニャは首都リマをはじめペルー国内に留まらず世界各国でコンクールが開催されている。マリネラは本来男女ペアの踊りであるが、現在、多くのコンクールでは、グループで演技し、表現するコレオグラフィー部門もあり、これはマリネラの新たな境地を開拓するものとなっている。またこのコンクールは2011年より日本でも開催されるようになり、2019年現在では横浜、名古屋、大阪、京都で毎年コンクールが開催されている(横浜は2017年が第1回)。これらのコンクールに優勝すると毎年1月にペルー北部海岸のラ・リベルタ県の県都トルヒーヨ市で開催される世界大会のシード権を得ることができ、第2決勝からの出場が認められる。(以前は第1決勝からの出場が認められていたが、2018年大会より出場者増加に伴いもともと第2決勝までしかなかった最終日に第三決勝が追加されたことによって、第2決勝からの出場が認められるようになった。)
このマリネラ・ノルテーニャの世界大会を主催しているのはラ・リベルタ県トルヒーヨ市にある、クルブ・リベルタ(Club Libertad) http://www.clublibertad.com.pe/ という民間団体で、日本も含む世界各地で行われるコンクールはこのクルブ・リベルタの各支部が主催している(京都は2017年のコンクールまでLCKという独自の団体が主催していたが、2018年より正式にClub Libertadのフィリアル(支部)となった)。これらのコンクールではその年に世界大会で優勝したチャンピオン(もしくはチャンピオン経験者)が審査員として支部に派遣され、彼らの審査によって各支部のチャンピオンが決定される。このクルブ・リベルタの支部は世界各地に存在しており、
アメリカ合衆国(12)・アルゼンチン(1)・オランダ(1)・カナダ(3)・スイス(1)・スウェーデン(1)・スペイン(1)・チリ(1)・ドイツ(1)・日本(4)に26支部がある。(2019年現在 /()内はその国の支部数)
特徴
マリネラ・ノルテーニャの大きな特徴としては、
・ペアダンスでは珍しく主に女性がリードするダンスである
・女性は必ず裸足で踊らなければいけない
・男性はソンブレロと呼ばれる伝統的なつばの大きな帽子を使う
・リメーニャや他のマリネラと比べて動きがダイナミックである
以上の点が挙げられる。
もともとマリネラ・ノルテーニャもリメーニャと同じように女性は主にヒールを履いていた。しかし、かかとの高い靴では踊りに制限が出てしまうため、1968年のコンクールにおいてオルガ・フェルナンデス(Olga Fernández)が裸足で踊ったことがきっかけで女性が裸足で踊るようになったと言われている。
これによって女性もかなりダイナミックな動きができるようになり、以降裸足で踊ることが正式となった。男性は地域のスタイルによって靴を履く場合と履かない場合がある。男女ともサパテオ(Zapateo)と呼ばれるかなり激しい足の動きが求められる。特に男性は激しいサパテオが要求され、その激しい動きは馬に喩えられる。実際に馬に乗った男性と、女性が踊るカバージョ・デ・パソ([[Caballo peruano de Paso]])という踊りもペルーに存在している。
マリネラ(ノルテーニャ)は、50年以上にわたるコンクールによってペルーの他の踊りには見られないほどに常に進化し洗練され続けている。これほどまでに様式化し洗練されているダンスはラテンアメリカの中でもあまり見受けることができない。
ペルーの作家であるフェルナンド・ロメロ(Fernando Romero)は「マリネラはペルー海岸地方の踊りではあるが、もともとの民族にさまざまな民族が混ざり合っていることで本物のペルーの踊りになっている。」と評している。つまり、マリネラとは様々な歴史・文化・民族が混淆しているペルーそのものを表す、まさにペルーという国を代表する伝統舞踊なのである。
裸足で踊るオルガ・フェルナンデス
カバージョ(ペルアーノ)・デ・パソ
Club Libertad/クルブ・リベルタ
日本におけるマリネラの広がり
日本では1990年以降のビザ緩和によって、日本へ出稼ぎのため関東や東海地方を中心に在日ペルー人の人口が増加したのに伴い、ほかの中南米諸国出身者たちと同じく各地にペルー人コミュニティが発生した。
そして、それら各地の在日ペルー人・ペルー人コミュニティのうち、地域の自治体でのお祭りやイベントなどでマリネラ、ワイノ等のペルー伝統舞踊がたびたび踊られる事はあっても、特に広がりは見られなかった。
日本において本格的にマリネラが広がりを見せたのは2011年以降、つまりマリネラコンクールが開催されるようになってからである。
日本で初めてのマリネラコンクール
日本におけるマリネラコンクールは2011年10月29日愛知県小牧市にて開催されたマリネラコンクール”SACACHISPAS"が最初である。
ただし、この”SACACHISPAS"は世界大会を主催するCLUB LIBERTAD(クルブ・リベルタ)の支部ではないため、世界大会出場者選考会(セレクティーボ)としての大会ではなかった。
世界大会出場者選考の選手権大会(セレクティーボ)として日本で初めて開催されたマリネラコンクール・セレクティーボは2012年3月11日東京都港区で開催されたClub Libertad Filial Tokio(クルブリベルタ東京支部)主催のものが最初である。
日本におけるクルブ・リベルタのフィリアル(支部)
世界大会を主催しているクルブ・リベルタ(CLUB LIBERTAD)から認可をうけた支部のことをフィリアルと言い、毎年選手権大会の開催が義務付けられている。この選手権大会で優勝したペアは世界大会の出場権(シード権)が与えられる。そのためこの選手権大会は事実上、世界大会の予選と位置付けられている。
日本で現在(2019年1月)活動しているフィリアルは横浜・名古屋・京都・大阪の4支部である。2017年までは東京・浜松の2支部もあったが現在(2019年1月)解散となっている。
日本はペルー国外のフィリアルがアメリカ(12支部)に次いで2番目に多い国である。
また、特定非営利活動法人として日本マリネラ協会が存在し、(2012年4月登記)その代表は以前、フィリアル東京の代表も務めていた。フィリアル東京は現在解散となっているが、日本マリネラ協会は現在も活動中である。(2019年1月)
その他マリネラのコンクール・イベントを主催している団体
日本で初めてのコンクールを開催した名古屋の”SACACHISPAS(サカチスパス/Asociación Cultural Sacachispas)"や京都の”L.C.K(Lazos Culturales Kyoto/文化のつながり京都)"等が挙げられる。(L.C.Kは2017年クルブ・リベルタのフィリアル京都として認可された。)
フィリアル大阪
フィリアル名古屋
フィリアル京都
フィリアル横浜
日本での主なマリネラダンスアカデミー・スクール
2011年より日本でもコンクールが開催されるようになり、日本各地に以下のようなマリネラのアカデミーや教室が存在している。
・BAILA PERU/バイラペルー・・・東京都
日本マリネラ協会が運営するマリネラアカデミーで、日本マリネラ協会の理事である日本人女性と、ペルー人2名が講師である。主に世田谷区で教室を開いている。
・MARINERA MI ALMA/マリネラ・ミ・アルマ・・・東京都
個人運営のペルーダンスアカデミーで、日本人女性が講師である。主に練馬区で教室を開いている。
マリネラ以外のダンスも教わることができるようである。
・SOL Y LUNA/ソル・イ・ルナ・・・千葉県
個人運営のアカデミーで、ペルー人夫妻が講師である。主に柏市で教室を開いている。
・TRADICION Y PASION/トラディシオン・イ・パシオン・・・静岡県
個人運営のアカデミーで日系ペルー人男性が講師である。主に浜松市で教室を開いている。
マリネラ世界大会
世界大会は、1960年から毎年開催されており、毎年1月にペルー北部ラ・リベルタ県の県都トルヒーヨ市中心部にあるGRAN CHIMU(グラン・チムー)と呼ばれる屋内の競技場で行われる。
使用される曲はコンクール開始1週間前の公式練習にてに発表される(約60曲~80曲程度)。2018年大会は66曲、2019年大会は69曲であった。
また、大会では1週間を通して全ての曲をブラスバンド形式の楽団が生演奏する。
コンクール本番では競技者が入場後、競技が始まる直前にくじで使用する曲が毎回決定され、曲名がアナウンスされると同時に演奏が開始される。
そのため大会では自分たちがどの曲で踊るのかは直前まで分からないため、あらかじめ振付を決めて踊ることはできず、参加者は演奏される曲に合わせて即興で踊らなければならない。
これは世界各国のフィリアルが開催する選手権大会でも同様であるが、日本の各フィリアルにおいては使用する曲は基本的に10曲~25曲程度で、発表されるタイミングも1週間以上前に行われるのが普通である。また、楽曲も生演奏ではなくデータ音源をスピーカーで流すのが一般的である。
世界大会および各フィリアルの選手権大会でのカテゴリ規定
マリネラ世界大会およびその予選であるコンクールは年代別に以下のカテゴリーに分けられる。※()内は2019年世界大会での規定。
・PRE INFANTE/プレ・インファンテ(幼児部門) ~6歳まで (2013年以降生まれ)
・INFANTE/インファンテ(小児部門) 7歳~9歳まで (2010~2012年生まれ)
・INFANTIL/インファンティル(児童部門) 10歳~13歳まで (2006~2009年生まれ)
・JUNIOR/フニオル 14歳~17歳まで(ジュニア/年少部門) (2002~2005年生まれ)
・JUVENIL/フベニル 18歳~21歳まで(ユース/青年部門) (1998~2001年生まれ)
・ADULTO/アドゥルト 22歳~34歳まで(アダルト/大人部門) (1985~1997年生まれ)
・SENIOR/セニオル 35歳~49歳まで(シニア/壮年部門)(1970~1984年生まれ)
・MASTER/マステル 50歳~62歳まで(マスター/名人部門) (1957~1969年生まれ)
・ORO/オロ 63歳以降(ゴールデン/高齢者部門)(1956年以前生まれ) ※2018年大会から新設
また、年代以外に以下のカテゴリーも存在する。
・UNIDAD/ウニダ ダウン症など障害者部門
・NOVELES/ノベレス (ビギナー/初心者部門) 今までにクルブリベルタや各フィリアル主催のあらゆる大会で優勝したことが無い者(ただしジュニアの年齢まで)
・COREOGRAFIA/コレオグラフィア(コレオグラフィー部門/グループ演技部門) 各アカデミーやグループでテーマやストーリーを決めて踊る団体競技
・CAMPEON DE CAMPEONES/カンペオン・デ・カンペオネス (チャンピオンのチャンピオン部門) 世界大会優勝経験者のみ参加できる。
必ずしも優勝した時のペアと一緒でなくても良い。このカテゴリで3回優勝すると殿堂入りし、あらゆるコンクールの出場資格がなくなる。(※殿堂入りとなった者は受勲者という意味のスペイン語で女性はLaureada(ラウレアーダ)男性はLaureado(ラウレアード)と呼ばれる。)
2018年大会までは、このカテゴリのみLA CENTENARIA(ラ・センテナリア)という曲だけを使用していたが、2019年大会からは
・AMOR SERRANO(アモール・セラーノ)
・NADIE COMO TU(ナディエ・コモ・トゥ)
・LA CONCHEPERLA(ラ・コンチェペールラ)
・LA VEGUERA(ラ・ベゲーラ)
・CLUB LIBERTAD(クルブ・リベルタ)
以上の5曲のうち抽選で選ばれた曲を即興で踊るというようにルールが変更された。
世界大会の日程
世界大会は、毎年1月の最終日曜日を最終日とする1週間にわたって開催される。2017年までは月曜から日曜の7日間だったが、2018年以降は参加者の増加に伴い、日曜から日曜の8日間かけて行われている。 (2019年第59回大会は1月20日から27日にかけて開催された。次回2020年第60回大会は1月19日から26日にかけて開催予定である。
2018年以降の世界大会日程
日曜日:地方予選(ペルー各地で行われる地方大会のトルヒーヨ版)
月曜日 予選/eliminatoria(プレインファンテ、インファンティル、フベニル、セニオル、オロ)
火曜日 予選/eliminatoria(ノベレス、インファンテ、フニオル、アドゥルト、マステル)
水曜日 準決勝/semifinal(プレインファンテ、インファンティル、フベニル、セニオル、オロ)
木曜日:準決勝/semifinal(ノベレス、インファンテ、フニオル、アドゥルト、マステル、ウニダ)
※ウニダ部門は予選と準決勝
金曜日:グループ演舞(コレオグラフィー)/coreografia
土曜日:第一決勝/primera final(全カテゴリ)
日曜日:第2決勝/segunda final、第3決勝/tercera final、最終決勝/gran final/final final(全カテゴリ+カンペオン・デ・カンペオネス)
最終日の日曜日は全国テレビのTV PERUによって、ペルー全土で大会の様子が生中継される。また、インターネットテレビ等でも生中継されており、世界中の人がリアルタイムで視聴することができる。
アドゥルト(大人部門)が最も重要なカテゴリと位置付けられており、一般カテゴリの中では一番最後に決勝が行われる。アドゥルト部門の決勝後、カンペオン・デ・カンペオネス(チャンピオンのチャンピオン部門)が行われ、これが大トリをつとめて終了となる。(カンペオン・デ・カンペオネス部門は日曜日のみ開催で、予選等なく、1回のみの踊りでの最高得点ペアが優勝となる。)※同点の場合は同点決勝が行われることがある。